新庄の花あじさい

「新庄の花あじさい」誕生まで

昭和59年(1984年)、新庄市の市制施行35周年を記念して、市の花を選ぶことになりました。市民にアンケートをとった結果、「あじさい」が選ばれたのです。環境への順応性に富み、たくましい生命力を持つ「あじさい」という花の特性が、雪国に暮らす新庄人の気質を象徴している、と多くの市民が感じたのでしょう。付け加えれば、「あじさい」は、冬の間は枝を落とされても、雪の中でじっと根を張り続け、春が来ればまた葉を繁らせます。そして初夏の訪れと共にさまざまな色に大きくふくらんで花を咲かせるのです。そう、新庄人を花にたとえれば「あじさい」というわけです。

さて、市の花が決まりました。店主は「あじさい」にちなんだお菓子を作ろうと、試行錯誤の日々が始まりました。洋の東西から南北、いろんなお菓子を研究、試作した結果、クッキーにスライスアーモンドを散りばめた「新庄の花あじさい」が出来上がりました。お茶にもコーヒーにも合う洋風せんべいとして、昭和60年(1985年)の発売とともに口コミで人気が広がっていったのです。

あれから30年が経ちます。「あじさい」を誇りに思う市民の努力もあり、新庄市は街角のあちこちにあじさいの花が咲く町となりました。そして、当舗の「新庄の花あじさい」も発売から30年です。おかげさまで平成14年(2002年)には、全国菓子大博覧会で名誉総裁賞を頂くことができました。今では新庄みやげの定番として市民の皆様からご好評を頂くとともに、全国のお茶の間でも大変喜ばれております。

せんべい?

「新庄の花あじさい」は、洋風クッキーですが、地元では「あじさいせんべい」として親しまれております。アーモンド、砂糖、バター、卵、小麦粉を原材料として焼き上げた風味の良い焼き菓子です。「せんべい」と呼ばれる理由ははっきりしませんが、おそらく、たかはしの商売のスタートがせんべい屋だったことと関わりがあるのかもしれません。

当舗は、昭和7年の創業時には、醤油せんべいなどの手焼きせんべいを作る"せんべい屋"でした。現店主である2代目が菓子職人としての修行を終えて家業を継いで後は、菓子屋となっておりますが、創業から長年にわたって"せんべい屋さん、せんべい屋さん"と親しまれて、屋号のように呼ばれていたことを思えば、"クッキー"が"せんべい"となったのも自然の流れと言えるでしょう。

幻の味

「新庄の花あじさい」には、現在、アーモンド味、ごま味、どでかぼちゃ(かぼちゃの種入り)、の三種類があります。実は、平成の初期、知る人ぞ知る幻の味がありました。「えび味」です。甘めの生地にえびの香ばしさが加わり、大変好評を頂いたのですが、残念ながらアーモンド味とごま味等の生産に追われ、なかなか「えび味」に手が回らず、いつしか幻の味となってしまいました。「えび味」を焼く時、工場に漂う香りの良さは、今でも従業員の間で語られております。

アーモンドのお話

「新庄の花あじさい」に一番多く使われている原料がアーモンドです。アーモンドはナッツなどの種実類の中でも、群を抜いてビタミンEの含有量が多い食べ物なのです。ビタミンEは酸化の防止、筋肉機能の維持、細胞膜の強化などの効能があり、不足すると血行の悪化などを引き起こします。

ビタミンEを多く含むアーモンドが女性の味方と言われるのは、血液の循環をよくする働きがあるためです。血行がよくなると、肌荒れ、シミ、冷えなどの予防になります。また、ホルモンの分泌を整えるので、更年期障害の緩和にも役立つと言われています。加えて、ナッツ類の特徴として、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リンなど、不足しがちなミネラルを摂取できる大きなメリットがあります。

「新庄の花あじさい」は健康食品である、とは言いませんが、アーモンドがたっぷり入った、おいしい焼菓子であることは、ぜひお伝えしたいと思っております。