ヒーローたちがやって来る。

新庄の方言のお話です。

地元の人は当たり前に使っていても、なかなか県外の人に伝わらない言葉、いろいろとありますよね。方言には、標準語ではとても表現しきれない豊かなものが秘められています。土地の生活習慣や歴史をすべて包み込んで、ずっと伝えられてきたような、地元の文化遺産ともいうべき輝きがあります。

さて、その日の仕事も終わり、夕御飯もおいしく頂き、テレビでも見るか、となった新庄のとある家庭の会話です。

「今日の8時に水戸黄門来るよにゃあ?」

「あー、水戸黄門来んな今日だったっけがや?」

「んだべ、今日だべ」

何事か、と思う方もいらっしゃるでしょうが、テレビ番組がオンエアされることを新庄では「来る」と言います。なので、新庄には、水戸光圀公をはじめ、仮面ライダーも来ますし、ウルトラマンも長谷川平蔵も、銭形平次も暴れん坊も嵐も、みんな来ます。

使い始めがいつなのかは定かではありません。芝居や興行が町にやって来る感覚が残ってこうなったのかもしれませんし、はるか都会から電波がやって来る感覚からこういう表現をするようになったのかもしれません。例外的には、その昔、本物のピンクレディーが、新庄市東山体育館にやって来たことは史実としてありますが。

新庄弁に馴染みのない方も、「明日の八時に坂本龍馬が来る」と、声に出して言ってみてはいかがでしょうか。また違ったワクワク感に満たされるかもしれません。